「兄ちゃん、これもうちょっと安くならんかなぁ」――以前はどこの電器店でもよく目にした値切り交渉の光景だ。人対人のやり取りを楽しんだのも今は昔。ポイントサービスが普及した現在では、値切り交渉はもはや過去のものと思いがちだ。  だが、ちょっと待ってほしい。商品を売る側も人間である以上、そこに交渉の余地はないとは必ずしも言い切れないのもまた事実だ。最近では店舗間の競争激化も手伝って、目の前の顧客を逃したくないという店側の心理はますます強くなっている。  そこで今回は、実際どこまで値切り交渉は可能なのか? 可能な場合、どのように交渉を進めればいいのか?といった点について、体当たりの取材でつかんだネタや、実際に値切り交渉にトライしてみた結果をお伝えしよう。
建前上は「誰に聞いても同じ」

 価格管理が行き届いた現在では、最終的な価格の決定権は一括して中央の管理センターが受け持っている店舗がほとんどだ。一人ひとりの店員の裁量で価格を 決めることはできないので、「以前のように話を聞く店員によって差が出るということはない」(ヤマダ電機テックランド東京本店PCフロアー長 佐々木弘輝氏)。  ただし、これはあくまでも建前上の話。「実際は店員によって端数を切ったりしていることもあるので、一概には判断できない」(佐々木 氏)というように、現場レベルでは完全に価格が統一されているわけではない。このような事実がある以上、やはり黙って表示価格のまま購入するよりも、まず は値切り交渉を持ちかける意義はある。では、実際に交渉を進める上で注意すべき点について紹介しよう。
具体的な予算や他店のチラシを提示する」

 ツクモパソコン本店店長、戸苅義之氏の話では、実際に値切り交渉する上で意識しておきたい作法は「値下げ交渉の極意」に挙げた3つのポイントのと おり。相手も人の子、頭から「とにかく安くしてくれ」ではなかなか応じづらいというのが本音だ。「あと数千円安くなると予算に見合うんだけど」というよう に、店側が対応できる範囲で切迫感を伝えるなど、多少の演出も必要になる。  よく言われることだが、同地域での競合他店の価格情報は非常に重要な武器になる。どの店舗もこまめに他店の価格調査を実施しているの で、チラシやポイント還元率も含めた価格を提示すれば、比較的高い確率で値下げに応じてくれる。「店員は自動販売機ではない。提示された価格が妥当だと判 断すれば、その場で即値下げする場合もある」(ヨドバシカメラコンピュータカテゴリマネージャ 佐藤恵太氏)。  それでは、次に以上の点を踏まえて実際にある電器店で値下げ交渉を行った結果をお伝えしよう。